長基線ニュートリノ振動実験
K2K/KEK-E362
この実験は筑波にある陽子シンクロトロンを用いて生成されたμニュート
リノを、
約250km離れた岐阜県神岡にあるスーパーカミオカンデ検出器
に向けて飛ばし、
飛行中に異種のニュートリノに化けるかどうかを調べる
ための実験でK2Kとい
う名前で呼ばれています。
- ニュートリノとは?
現在「素粒子の標準模型」と呼ばれている描像では、物質を構成する粒子と
して6種類のクォークと同じく6種類のレプトンと呼ばれる粒子が存在する
ものと考えられている。
ニュートリノはこのレプトンの属するもので、電気的に中性(電荷を持って
いない)である。またニュートリノはには3種類あるが、それぞれは3種類
の荷電レプトン(電子、μ粒子、τ粒子)と組を成している。
- 電子 ー 電子ニュートリノ
- μ粒子 ー μニュートリノ
- τ粒子 ー τニュートリノ
素粒子に働く力(相互作用)には、
- 強い相互作用:原子核を構成する力
- 電磁相互作用:原子、分子を構成する力
- 弱い相互作用: 原子核の崩壊を起こさせる非常に弱い力
- 重力相互作用: いわゆる重力であるが、素粒子の質量が小さ過ぎ
るので、通常は無視できる。
があるが、ニュートリノにはこれらの内「弱い相互作用」しか働かない。
それ故、
- ニュートリノの検出が困難で、研究が困難
- ニュートリノは、我々の身の回り(は殆んど電磁相互作用)と異なっ
た「謎めいた」振舞いをする。
- ニュートリノの質量の問題?
ニュートリノの他の粒子(クォーク、荷電レプ
トン)と異なる(謎の)点
- クォーク、荷電レプトンはコマのような「右巻き」或は「左巻き」に
なる性質を持っている。しかし、ニュートリノは「左巻き」の状態し
か存在し
ない(発見されていない)。
- 物質を構成する粒子の内、「どういう訳か」ニュートリノだけが質量
を持っていない(質量=0)!?
おかしい!?
質量を持っている(が何らかの理由で非常に小さい)と考える方が自然。
- ↓
- シーソー機構:
- シーソーで、重い人を相手にしていると、自分は軽くなくても高く上げ
- られて軽く見える。これと同様に、ニュートリノも元は他の粒子と同程
- 度の質量を持っているが、非常に質量の大きい粒子の影響で軽く見える
- ように押し上げられている・・・という理論
- 「マヨラナ性(粒子と反粒子の区別が無い)」と「非常にエネルギーの
- 大きい所での素粒子の基本的な性質」の両方が関わっている。
- スーパーカミオカンデの実験
-
宇宙由来のニュートリノのデータは、ニュートリノが質量を持ってい
- るかも知れないことを示唆している!?
- ニュートリノ振動とは?
スーパーカミオカンデの実験では、「ニュートリノ振動」現象の観測で、
ニュートリノの質量の存在の可能性を捕らえた。
では、ニュートリノ振動とは何だろうか?
ニュートリノに小さな質量があるとする。その場合、例えばμニュートリノ
が発生して飛行したとすると、そのニュートリノは飛行中にμニュートリノ
から例えばτニュートリノに化け、更に飛ぶとまた元のμニュートリノに戻
る・・を繰り返す可能性が理論的に考えられる。
→これをニュートリノ振動と呼ぶ。
- 例:(μニュートリノ}→(τニュートリノ}→(μニュートリノ}→・・・
- K2K実験とは?
-
高エネルギー加速器研究機構(KEK)にあるK2K実験のホームページへは
ここ
から行けます。
Go to Long-Baseline Neutrino Oscillation News Home Page @ANL
This document was updated on Jul. 12, 2003.