微細加工半導体特性評価システム
当研究室には,1998年度に大学院重点整備設備費として,
『微細加工半導体特性評価システム』が導入された。
目的
- 当研究室においては、加速器や宇宙から飛来する素粒子による反応を実
験的にとらえ,
素粒子の構造及び相互作用の機構を研究している。
その研究においては,反応により生じた粒子の飛跡を精度良く測定するために
大規模集
積回路(LSI)の技術を用いた半導体検出器が必要不可欠な検
出器として用いられて
きている。しかしながらその検出器の,良い位置分
解能を得るための,及び放射線に対
して耐性のある検出器を得るための開
発研究はまだまだ必要である。
その系統的な研究のためには,半導体に特
徴的な強い温度依存性のために,試料の温度
を広い範囲で制御し,LSI
技術で実現されるミクロンのサイズで制御された位置にレ
ーザー光を照射
できる装置が,非常にユニークかつ重要な結果をもたらすものとして期
待
されている。又その測定においては大量のデータが生成されるために,高速の
データ処
理能力を持ったシステムが必要である。これらは素粒子物理学の
実験的研究には勿論,
高放射線下における半導体の特性に関する研究に役
立つと共に,データ処理の高速化
の研究にも大きく貢献するものである。
システムの構成と性能
- このシステムは大別して,
- レーザープロセシングシステム
- 高速データ収集処理システム
- その他の付属設備
- から成る。
- レーザープロセシングシステム
この部分は,主として高精度で半導体検査を行なうためのいわゆるプローブス
テーションと,YAGレーザーからなる。以下に主要な仕様を示す。
-
(拡大したものは写真をクリックすると得られます。)
- プローバー
- サイズ:8インチ用
- 顕微鏡:全波長に対して使用可能,100倍のレーザー透過型対物
レンズにより1μmの構造が観察可能
- 高解像度CCDカメラ及びモニター
- 3軸方向に可動
- 位置決定精度:全領域において±2μm
- 位置再現精度:全領域において±1μm
- 位置設定:PCによる半自動設定
- 電磁シールド:プローブの位置は電磁シールドされている
- 温度制御:チャックは温度制御されている
- 温度範囲:-50°C以下 〜 +100°C以上
- 温度精度:±0.5°C以内
- 湿度制御:空気乾燥機で結露を防止
- 防振台
- レーザー
- Nd:YAGレーザー
- パルス:パルス幅10ns未満,外部トリガー可能,10Hz以上が可能
- 波長:2mJ@266nm,4mJ@355nm,10mJ@532nm,20mJ@1064nm/パルス
- ビーム径: レーザー出口で3mm以内
- ビームの広がり: レーザー出口で3mrad以内
- スポットサイズ: 2μm□以下,スポット位置を顕微鏡及び
モニターで確認できる
- 低雑音
- 光量: 本体での光量調節とNDフィルターの併用により,半導体
素子の加工
- (カッティング)から光信号の測定まで広範囲での利用が可能です。
- その他(追加されたもの)
- 光量モニター
- Photo Diodeを用いたレーザー光の光量モニターが,標準設備とし
て
準備されている。(後述)
- 温度モニター
- 熱電対を用いて数点の温度の測定が可能。(後述)
- 高速データ収集処理システム
この部分は、プローブステーション等によるデータ収集及び、得られたデータ
の解析装置である。
又一部は,実験の高度化に対応するための開発研究の
ために用いられている。
- SUNワークステーション
- VMEシステム
- クレート
- CPUボード
- 現在、VxWorksにより読み出し可能
- コンパクトPCIシステム
- クレート
- CPUボード
- 高性能FADC(25MHz, 1MW, 4ch/board及び100MHz, 8KW, 16ch/board)
モジュールを現在開発中
- CAMACシステム
- CAMACクレート及びPC用クレートコントローラー
- PCにより制御
- ADCその他のモジュールからのデータを読み出し可能
- その他
- その他の関連機器
上記の設備の他に、そのより有効な利用の為や,関係するが少し異なった
環境/
条件での測定を可能とするための装置も幾つか準備されている。
- 小型恒温恒湿器(内扉付)
- 温度設定範囲:-40°C〜+130°C
- 温度設定精度:±0.3°C
- 有効寸法:幅300x奥行240x高さ300mm
- 封じ切り型窒素レーザー(色素レーザー付)
- 基本波長:377nm
- トリガー:<30Hz, 外部トリガー有り
- 高精度電源
- Function Generator
- Digital Oscilloscope
- その他
このシステムの公開利用について
- 上に述べましたように,このシステムは半導体の性能評価及び加工のた
めに極めて優れた
性能を有していますので,できるだけ多くのユーザーに
御利用頂きたいと考えております。
非常に精密な装置であることなどから下記の条件は付けざるを得ません
が,それにあう方に
は大いに利用して頂きたいと考えておりますので,
御希望の方は是非
[email protected]
へ御連絡下さい。
- 原則として,当研究室のメンバーと「広い意味での」共同研究を組ん
で測定をする
- 原則として成果は公開すること
- 日程や利用法が当研究室固有の研究と抵触しないこと
- 消耗品費及び旅費等は自己で負担すること
- 利用目的及び方法などが、広い意味でのこの装置設置の趣旨に沿うこと
- なお外部の方に御利用頂く場合,その測定のための(計算機を含む)当
研究室所有の周辺
測定機器の利用に関してましても可能な範囲内で考慮し
ますので,ご相談下さい。
This document was updated on Jul. 12, 2003.